OSC2011 Hokkaido!ご来場ありがとうございました!!
07/01
OSC News, OSC開催レポート 2 Comments
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OSC北海道 地元実行委員会スタッフのH.Hiroとみぃおです。
6月11日(土)、札幌市産業振興センターでOSC2011 Hokkaidoが開催されました!
OSCは、OSC2011 Hokkaidoで累計なんと60回目の開催。そして、今回の北海道
では来場者数600人を達成しました(ダブル6ですね!)
北海道で独自に開催したGoDO2004からはじまり、OSC2005 Hokkaidoからは7回
目となります。これも、過去から現在までの来場者・スタッフの皆様のおかげです。
また、震災以降に開催された他のOSCと同様、本会場でも募金箱が設置され、総
額151,933円の義援金が集まりました。募金いただいた皆様、ありがとうござい
ました。(イベントのトップページで送金の報告をしています)
■ブース展示
ブース展示には、全部で40の企業・団体が参加しました。
北海道に多くのOSS開発・活用コミュニティがあることを伝える一方で、企業の
OSS活用事例や、北海道以外に拠点を置くコミュニティの活動など、普段なかな
か聞く機会のない話を聞くことができる場ともなっていました。
また今回のOSCでは、引率者が参加者の皆さんと一緒に展示会場を見て回り、出
展者から各ブースの見所や最新のトピック等を紹介していただく「展示ツアー」
を開催しました。
引率を担当したのはRuby札幌でもおなじみの島田さん、LOCAL代表理事の澤田さ
ん。OSC北海道では初めての試みでしたが、たくさんの参加者の皆さんにご参加
いただき、展示ブースが大いに盛り上がりました。
■セミナー
全部で44のセミナーが開催されました。
うち3講演はランチョンセミナー(昼食時間帯に行われる、昼食を取りながら聴
講できるセミナー)として開催されました。
公開されている講演資料はイベントのトップページからダウンロードできます。
それでは、いくつかセミナーをご紹介します。
■株式会社インフィニットループ 松井健太郎氏
「大規模ソーシャルゲーム開発から学んだPHP&MySQL実践テクニック」
「ブラウザ三国志」「英雄クエスト」の開発の際のノウハウについて(特に
MySQL周り)の紹介です。
大規模なために、ロックやインデックスの調整がとても大事。
また、KVS型はSelectの性能が高いので、あまり情報が変更されない部分に使っ
ていると説明されていました。
また、PHPでの大規模開発では、言語仕様的に厳しい所があるので、コーディン
グ規約でカバーしているといった工夫もしているそうです
(例:条件判定は==ではなく、極力===にする。emptyは使わない など)
■日本Androidの会 北海道支部 大路裕介氏
「Androidとオープンソース」
Androidアプリケーションの代表的な開発手法
・HTML+JavaScriptを用いて作る
・Javaを用い、Android標準のAPIで作る
・C/C++を用い、ネイティブAPI(JNI)で作る
それぞれについて、オープンソースなライブラリが紹介されていました。
また、それ自体がオープンソースであるAndroidについて、Androidのソースコー
ドの入手方法や、それを読むポイントも紹介されていました。
■LOCALインフラ部 小岩秀和氏
「帰ってきた!ケーブリングマニアックス」
ケーブリングの重要性について説明されていました。
ケーブルには様々な種類があり、電源ケーブルや光ファイバーケーブルにはそれ
ぞれの特性や制約があり、注意が必要であるということが紹介されていました。
また、ケーブルをきれいに管理するには、接続もとと接続先が分かるようにタグ
(サーバ名 NIC1みたいな感じ)を付けるのがコツだそうです。
ケーブリングによって見た目が綺麗になり、更に廃熱効率も向上されるとのこと
です。ケーブリングに使われているグッズは、ヨドバシカメラなどで簡単に入手
できるものも多いので、気軽に実践できそうです。
■八戸駿氏
「個人で作るiPhoneアプリ ─ゆけ!勇者の企画・開発・運用─」
「ゆけ!勇者」は忙しくても、ちょっとした空き時間でゲームをしたい社会人を
ターゲットにしたiPhoneアプリです。
開発のきっかけは、「iPhoneが欲しかったから」。当初はHTML5を使うかiPhone
アプリにするか迷ったそうですが、AppStoreがあるiPhoneアプリのほうが宣伝し
やすく、HTML5は通信量がかさむことから、iPhoneアプリでの開発に踏み切った
そうです。
サーバの負荷対策や、長期運用を見据えたアプリのリファクタリングの重要性に
ついても説明されていました。
■日本Red5ユーザー会 文屋宏氏
「Red5入門 〜楽しくウェブアプリを作ろう!!〜」
Red5とは、オープンソースなFlashサーバであり、Adobe社による製品にはない機
能も備えています。例えばRed5は、複数のクライアント間でオブジェクトを共有す
る仕組み(SharedObject?)をサポートしており、「複数のブラウザ上のFlashから
1つのサーバにアクセスしておくことで、一つのブラウザから加えたデータの変更
を、他のブラウザにも即座に反映する」というデモが、実際にブラウザを起動して
紹介されていました。
■F# User Group – Japan 小泉将久氏
「これからの『言語』の話をしよう ―― 未来を生きるためのツール」
F#は、.NET framework向けに開発された関数型言語です。
従来のプログラム言語は「手続き型言語」というパラダイムに属するものが多い
一方で、F#はそれとは異なる「関数型言語」に属します。この関数型言語の特長
の一つとして、記述がコンピュータよりも人間寄りであることが述べられました。
また実際にコードの記述において、F#が手続き型言語であるC#よりも分かりやす
く書ける例が紹介されていました。
また「変数束縛」という仕組みが並列計算に有用であることや、F#がWebアプリ
ケーションやWindows・Xbox・スマートフォンなどのためのアプリケーション
を作るのにも使えることが紹介されていました。
■札幌C++勉強会 湯朝剛介氏
「魔法言語 C++☆0x 〜僕と契約して、C++erになってよ!〜」
C++の最新規格「C++0x」において導入される新機能を、従来と比べてどのように
便利になるかを踏まえて紹介されていました。
・変数宣言時に型名を省略可能な場合に利用できる「auto」
・C++で不可欠であるポインタをラップするクラスである「スマートポインタ」
・従来よりも簡便な記法で関数オブジェクトを扱える「無名関数(lambda)」
など、全部で9項目の新機能が紹介されました。またこれらにより、C++はより
ユーザにとって利用しやすいものになると締め括られました。
■Linaro倶楽部 今村博宣氏
「ARM CPUの概要とLinaroの紹介」
携帯機器などに多く用いられているCPU「ARM」の概要と、ARM向けのLinuxカー
ネルを開発する団体「Linaro」の紹介です。
まずARMの概要として、現在の最新版(ARM v7)においては、対象機器によって
大きく3分類のCPU(Cortex-M/R/A)があると説明されていました。
またLinaroは、それまでARM CPUでLinux(これにはAndroidなども含まれる)を
動かす各ベンダーが独自に最適化を行っていたものを統合し、よりよいARM向け
Linuxを開発するプロジェクトであること、そしてLinaroはCPUとLinuxディスト
リビューションの間に立つ存在であると紹介されていました。
■LOCAL PHP部 佐藤琢哉氏
「PHPでセキュリティを真面目に考える」
Web開発でよく使われているPHPでセキュリティについて真面目に考えるというこ
とで、初心者から中級・上級まで幅広いターゲットを上手に押さえている内容でし
た。基本的には最新のPHP・ライブラリを使うこと。一次情報(主に公式サイト)を
見ることや、標準関数だからといって安心しないというアドバイスもありました。
■企画LT (ライトニングトーク)
通常のセミナーに並行して、企画LTも行われました。
これは、今回のOSC2011 Hokkaidoに向けて、地元の実行委員会が設定したテーマ
「守破離☆守破離 〜強くてニューゲーム〜」に沿った短時間のプレゼン大会です。
「守」(初心者、新しいことを始めたい方向け)のテーマを6名、「破」(一歩進ん
だことを行いたい方向け)のテーマを2名が発表しました。このうちいくつかを
ご紹介します。
■口田聖子氏「はじめてのWebデザイン」
Webデザインの基本は「定番のベストセラー」、すなわち一般的なデザイン方法
を抑えることであること、またその詳細として「レイアウト」「色」「余白と整
列」という3つの観点についてポイントを説明されていました。
■北村大助氏「はじめての勉強会」
新たな勉強会に参加する方法として「IT勉強会カレンダー」を例に紹介していま
した。 はじめて参加する際に思いがちな「知らない人ばかり」「周りの人が自
分より出来る気がする」といった不安への対処法が紹介されていました。
■小岩秀和氏「はじめてのライセンス」
オープンソースソフトウェアのライセンス、特にGPLの特徴について紹介されて
いました。GPLは一見すると分かりにくいライセンスであるものの、ソースコー
ドの自由な利用を保証するという観点から理解しておくと分かりやすいと説明さ
れていました。
■ライトニングトーク&閉会式
閉会式では今年もLTが行われ、全部で7名の方から発表を頂きました。
OSC Hokkaidoで恒例となった「Ejectコマンドでハムスターを救う」あっきぃ氏
が今年もLTに参戦し、バージョンアップされたシステムを発表されていました。
さらに、この次に発表されたLinux-HA Japanプロジェクトの田中崇幸氏が、こち
らもEjectコマンドを利用した発表をするというサプライズを見せ、会場は爆笑
の嵐に包まれていました。
また、斉藤和芳氏の釧路におけるコミュニティ活動についての発表では、広大な
北海道のハンディをもろともしない姿が伺えました。
LTの最後に、LOCALの澤田周氏より「2011年度LOCAL感謝賞」の発表がありま
した。この一年で北海道で活発に活動したコミュニティとして、釧路OSSコミュ
ニティ、Hokkaido.pm、SaCSSが表彰されました。
感謝賞の表彰については引き続き行っていきたい、とのことでした。
■懇親会
懇親会はアサヒビール園にて行われました。今年は昨年以上の大人数に対応した
会場となり、約190人が参加しました。
参加者はビールを味わいながら、この日感じたことを持ち寄りつつ、交流を深め
ていました。
今年は昨年を更に上回る参加者数となり、大盛況のうちに閉会しました。
ご来場の皆様、ありがとうございました。是非来年もお会いしましょう。
また、セミナーで講演された皆様、ブースに出展された皆様に感謝の意を表しま
す。
■最後に、レポート担当から一言コメント
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私がOSC Hokkaidoに参加するのは今回が四度目なのですが、スタッフとしての参
加は初めてでした。
OSCの準備の裏側まで携わって参加したことで、OSCへの思い入れがより強いもの
になりました。(H.Hiro)
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OSC2010 Hokkaidoから参加し、今年は気がついたらスタッフになっていました。
去年は参加者として、今年はスタッフとして、また違った視点でOSCを見ること
ができ、貴重な体験となりました。(みぃお)
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