おかげさまで盛り上がりました! オープンソースカンファレンス2018 Nagoya
05/28
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開催レポート担当、OSC名古屋実行委員のH.Hiroです。
5月19日(土)、オープンソースカンファレンス2018 Nagoyaが開催されました。
今年は約500名の来場者にお越しいただきました。
ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。
■開催のまとめ
開催日 :5月19日(土)
会場 :名古屋市中小企業振興会館
来場者 :約500名
セミナー:38コマ
展示 :49ブース
ハッシュタグ:#oscnagoya
→ 展示ブース一覧
→ セミナータイムテーブル
会場は今年も名古屋市中小企業振興会館。風こそ強かったですが、天気に恵まれました。
昨年に引き続き、OSC名古屋のキャラクター「リリー」もポスターの中から
来場者を迎えます。
<セミナー・展示の様子>
今年は、38コマのセミナーと49団体のブース出展が盛り上げてくれました。
そのうち一部を紹介いたします。
<セミナー>
姉崎 章博氏(NEC)
"OSSライセンスと著作権法のポイント~世迷いごとを斬る。PartII"
ブースでは、オープンソースライセンス違反などがないか検査するソリューションについて展示していたNEC。セミナーではオープンソースやそのライセンスについて、勘違いされることも多い点について解説をされていました。例えば、「フリーソフトウェア」という言葉がどんなライセンスで提供されているソフトウェアを指すのかというとき、GPL系のライセンスのみを想像する人もいるけど、実際はそれより緩いBSDやApacheなどのライセンスも含まれている、ということが話されていました。また、勘違いによりOSSのライセンス違反を犯してしまわないための基本として、OSSといっても基本的には他人の著作物である、ということを念頭に置いておくべきということが話されていました。
小川 清氏(MISRA C 愛好会)
"コーディング標準は誰のため?"
開発においてコーディング標準を定めることはしばしばありますが、これの効能よりも悪影響が強く出ていることはないでしょうか?コーディング標準は可読性を高めるなどの目的で導入されますが、小川氏によれば、「可読性を高めるためにコーディング標準に従う」ことはもちろんあるものの、「コーディング標準に従えば可読性が高まる」とは限らないことを指摘します。コーディング標準の一つであるMISRA Cは、コーディング標準にただ従うだけでなく、それを外れる場合にどう外れるべきか、ということまで考えたものになっていることが紹介されました。
上岡 真也氏(サイボウズ株式会社)
"クラウドサービス「cybozu.com」を支えるログ基盤"
サイボウズ社ではグループウェア等のクラウドサービス「cybozu.com」を開発・運営しており、そのログを活用することはサービス向上や障害対応に欠かせません。しかし現在ログの量は1日に800GBにも達し、これらを適切に保存し参照・検索できるようにしておくのは容易ではありません。同社ではログの集約・保存を分散システムにすることで、スケーラビリティを持たせられるようにしたことが述べられていました。またそれにあたっては、分散ストレージ・データ処理のHadoopや分散メッセージキューのKafkaなど、OSSも多数活用しているとのことでした。
Mozilla翻訳コミュニティ
"MDN編集ハンズオン ~「てにをは」から直してみよう~"
Mozillaが運営する、(Mozillaに限らない)Web技術の情報を集めるサイトがMDN Web Docsです。ここの文章はオープンな仕組みで書かれており、編集や翻訳を行う人を広く求めています。またそれゆえ、このハンズオンのタイトルにもある通り、細かい表記の修正なども歓迎されるということが述べられていました。MDNは現在はGitHubでログイン可能となっており、気軽に参加してほしいということも呼びかけられていました。
今井 敬吾氏(ProofCafe)
"ソフトウェアの信頼性を高める定理証明支援系の応用事例について"
プログラムの挙動が指定した通りであることを"証明"する方法やソフトウェアを扱っているコミュニティ"ProofCafe"からの発表。すでに存在するコードに対する証明を行った事例や、実際の業務のコードに対して適用した事例が述べられました。証明をするにしても、その証明はプログラムに近い形で記述する必要があるため、このようなソフトウェアは、アルゴリズムを言葉で表そうとすると単純であるものの、実装すると(あるいは、効率よい実装をしようとすると)複雑なコードになるという場合に特に有用である、ということが述べられていました。
澤田 健氏(Bacula.jp)
"rsyncやシェルでバックアップするよりも簡単にOSSのBaculaで
バックアップしてみよう"
Baculaはバックアップのためのオープンソースソフトウェアです。Enterprise版(有償サポート対応)も存在します。商用ソフトに比べると機能の劣る箇所はもちろんありますが、rsyncなどで行うのに比べればかなり使いやすくなるのではと述べられていました。特に、ネットワーク越しのバックアップでは有用とのことでした。またGUIがオープンソースのバックアップソフトウェアとしてはしっかりしているとのことで、バックアップ実施や復旧なども容易にできるようになっているとのことでした。
植田 粋美氏(Code for Nagoya・FOSS4G Tokai 実行委員会)
"初心者で大丈夫!オープンソースで地図システム(GIS)を使ってみようワークショップ"
展示会場の一角のスペースで開催されたワークショップ。15名ほどの方が参加されていました。皆さん、パソコン持参で10時から16時までもくもくと作業されていて、最後のライトニングトークでワークショップの成果を報告していました。
<展示>
機械学習 名古屋
休日の時間をかけての勉強会のほか、平日の夜に機械学習の論文を読む会などを開催しているコミュニティです。パソコンのディスプレイに映っている物体は、倒れたりしない動きを「学習させる」(試行を通じて習得させる)というプログラムを動かしたものとのことでした。
株式会社NTTドコモ
AIエージェント基盤「PROJECT:SEBASTIEN」についての展示でした。人が話した内容の取得と、それによるサービス提供を行う部分をオープンに利用可能にしたもので、さらにサービスの設定も簡単に行えるようになっています。インターネット接続さえ利用できる環境であれば、容易に発話を通じたサービスを組み込めるようになっています。
Future Versatile Group/MyDNS.JP
サーバ・ネットワークを中心に扱っており、MyDNS.JPという無料で利用可能なダイナミックDNSサービスも提供しています。今回の展示では小型コンピュータを用いたサーバ(MyDNS.JPも利用)やストレージ接続変換器(USB→LAN)を公開していました。ちなみに「Future Versatile Group」は「未来の何でも屋」という意味とのことです。
名古屋アジャイル勉強会
ソフトウェア開発手法であるアジャイル開発について扱う勉強会で、平日夜の名古屋での勉強会開催を主な活動としています。毎回の勉強会で扱う内容が様々であり、アジャイル開発において用いられる多数の技法に触れていくにもよいでしょう。写真の付箋が貼られたボードは、アジャイル開発において用いられる一技法「かんばん」を模したものです。
Japan MariaDB User Group
MariaDBは、MySQLから派生して生まれたオープンソースのRDBMSであり、MySQLとの親和性も保持されています。ブースでは大型システムでの採用例などが紹介されていました。またMariaDBのマスコットは「アシカ」となっているのですが、これをぬいぐるみにしたものが多数並べられており(配布されていました)、インパクトある光景を生み出していました。
Netwalker実験所
タブレット端末を中心とした小型コンピュータに、もともと入っていたものとは異なるOSをインストールする(元がWindowsの端末にAndroidやLinuxをインストールすることが多い)方法や利用例を紹介されている方です。タブレット端末やノートパソコンのほか、電子辞書や、シングルボードコンピュータにキーボードを取り付けた小型端末なども展示されていました。
スタンプラリー&くじ引き
展示会場内にあるスタンプを集めるとOSPN特製グッズがもらえるスタンプラリーや
アンケート提出で景品が当たるくじ引きも行われていました!
<ライトニングトーク>
8名のエントリーがあったライトニングトーク、
簡単に発表を紹介させていただきます。
- 植田粋美氏 “オープンソースでGISを使ってみようワークショップ”
- 今回のOSC名古屋の中で一日かけて開催された(10時~16時)、GIS(地理情報システム)を利用するワークショップの成果を報告。
- ひろくんだよん氏 “自販機の超自然現象 果たして収まるか?”
- 自動販売機に「ICカードは~~が利用可能」と書かれていても、使えないはずのカードまで使えるなどの現象も時折あり…設置会社に報告するとどう対応されるかの検証も。
- はしもとまさひこ氏” 新しいかな漢字変換「Genji」をつくってみたよ”
- かな漢字変換の中身を大きく作り直した話。候補が複数あるときにどれを先に提示するのか?というアルゴリズムも解説。
- 宮原徹氏 “始めよう!Raspberry Piでオーディオ再生”
- 小さくて安いRaspberry Piは、USBオーディオデバイスの接続もしやすく、オーディオ環境の構築によいとのこと。
- 島田啓史氏 “今年のOSC名古屋宣伝企画レポート(リリー編)”
- 昨年から登場したOSC名古屋のキャラクター「リリー」。今年は「学ぼうとする人を案内する」ことをコンセプトにしたとのこと。
- あおき氏 “OSSのノベルティを買ってみた”
- OSSを支援したいけど、プログラムが書けるわけでもない、日本からはPayPalの寄付ができない、ということでノベルティを買うことにしたあおき氏。シャツなどはよくありますが、自転車用ウェアや下着など意外なものを扱っているところも…。
- 甘党の人氏 “enchant.jsでお手軽ゲーム作成”
- JavaScriptによるゲーム制作ライブラリ。どんなクラス構成なのかなどの基本と、実際の作例が示されていました。
- 2box2bo氏 “尾張名古屋は○で持つ”
- 名古屋城本丸御殿の「孔雀の間」という部屋が、利用上の制限はあるものの、一般に貸し出されている。Python東海がここで7月21日に勉強会を開くとのこと!
<懇親会>
約90名が参加した懇親会、本開催が終わっても盛り上がりはやまず、焼肉食べ放題ということもあり、皆さんたくさん食べて喋って最後まで元気いっぱいでした。
<おわりに>
今年のOSC名古屋も、おかげさまで盛況に終わりました。今年、楽しんでいただいた方は、来年の盛り上げにもご協力いただければ幸いです。
オープンな技術を活用し楽しんでいきましょう!