オープンソースカンファレンス2017 Nagoya
ご参加ありがとうございました!

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OSC名古屋実行委員、開催レポート担当のH.Hiro(@h_hiro_)です。
5年ぶりに(OSC2012 Hokkaido以来)OSC開催レポートを担当させていただきます。
※以前はOSC北海道の実行委員をしていました。

5月27日(土)、オープンソースカンファレンス2017 Nagoyaが開催されました。
今年も昨年に続き、名古屋市中小企業振興会館での開催でした。
多数の出展者、約500名を超える来場者で今年も盛況に開催を終えることができました。

開催日 :5月27日(土)
会場  :名古屋市中小企業振興会館
来場者 :約500名
セミナー:41コマ
展示  :51ブース
ハッシュタグ:#oscnagoya
展示ブース一覧
セミナータイムテーブル

=OSC名古屋のキャラクター登場!=

ポスターにも掲載されていた通り、今年はOSC名古屋のキャラクターが登場しました!
キャラクター作者による紹介

=セミナー=

展示会場の一角のオープンスペース(3F)と各会議室(4F)で行われたセミナー。
朝からたくさんの方にご参加いただきました。

▼セミナーの様子(左:3Fオープンスペース、右:4F会議室)

地元で活動されている方を中心に、いくつか紹介いたします。

「WordPressの魅力とWordPressコミュニティの魅力」
担当:WordPress地域コミュニティWordBench名古屋

WordPressの地域コミュニティ「WordBench名古屋」のメンバーである小野氏と稲葉氏の二名で、WordPressそのものとWordPressコミュニティの紹介をされていました。
オープンソースのCMSであるWordPressは、現在もなお世界のWebサイト全体に占める利用率が上昇していること、またオープンソースの観点でも本体はもとよりプラグインもGPLのものが多数存在し(公式サイトで登録されているプラグインはすべてGPL)自由な利用が可能である、ということが述べられていました。またWordPressのコミュニティとしては、初心者歓迎な一方でプロの方も多数コミュニティに参加している場である、勉強になる場であるということが紹介されていました。コミュニティに参加することの楽しさや利点を感じさせてくれる発表でした。

「プログラムと文書を共有するJupyterノートブック作成入門」
担当:中部大学オープンソース研究会

Jupyterという、ブラウザ上でのプログラム実行環境についての紹介でした。Jupyterは、単にプログラムを実行する環境というのみならず、それをノートブック、すなわち文章なども含めてまとめるのに利用できるようになっています。そのため、文章中にプログラムの実行結果を掲載したい場合、例えばデータを描画した結果を掲載するなどの場合には特に有用です。また、Jupyterで書いた内容をスライドとして出力することについても紹介されていました。

パソコンにインストールをして実際に動かすデモも行われました。インストールは、Anaconda(データ処理に適したパッケージを同封したPythonインストーラー)を用いるのが容易とのことで、これによりグラフ描画などもすぐに使えるようになっています。

「DNS再入門 – 初心者からベテランまで、基礎から見直して見よう。」
担当:NPO法人東海インターネット協議会

「東海インターネット協議会」は、1991年から長期にわたって活動している団体です。DNS、すなわち「ospn.jp」のような名前で記述されたアドレスを、実際に通信する際に必要なアドレスであるIPアドレスに変換する過程(名前解決)が詳しく説明されました。
正しく利用してもらいにくい用語や、なぜこの機能があるのかわかりにくいものについても説明されており、例えば「DNSサーバ」というのは用語として不正確である(実際には「DNSキャッシュサーバ」と「DNSコンテンツサーバ」がある)とか、「example.com」のIPアドレスを格納するDNSコンテンツサーバが「ns.example.com」にあってもよい、などの話題がありました。鈴木氏は最後に、DNSの「浸透」という言葉も実態を正しく表してない、という話で発表を締めくくっていました。

「Arduinoから自動車/ロケットまで! 高品質な組込み向けオープンソースを開発するTOPPERSプロジェクトのご紹介」
担当:NPO法人TOPPERSプロジェクト

「リアルタイムOS」とよばれるカテゴリーにあたる、OSを使うことによるオーバーヘッドを極力小さくした組み込みシステム向けなOSについての話題です。TOPPERSプロジェクトは、当時豊橋技術科学大学に所属していた高田広章氏が立ち上げた、リアルタイムOSならびにその周辺ソフトウェアの開発を行うプロジェクトです。
リアルタイムOSにおいては、標準的な仕様がいくつかあり、そのうち同プロジェクトではITRONやAUTOSARといった仕様に対応したものを制作しているとのことでした。また組み込み機器向けであるという事情から、「ライセンス文書を添付できない場合は、利用したことをTOPPERSプロジェクトに報告するのでよい」という、BSDライセンスなどよりも緩いライセンスを採用していることも紹介されていました。実機によるデモも行われ、ブラウザ上でコードを書いてバイナリを取得するオンラインコンパイラ「GADGET RENESAS」でライトの点滅デモが行われていました。

「GPD-WIN、Windows10タブレットにLinuxを入れて改造してみた。2017年名古屋版」
担当:Netwalker実験所

様々なタブレット端末にLinuxをインストールする、ということにチャレンジされているKapper氏。30台くらいの端末を持っているとのことでした。Linuxはメモリの消費が少ないものも多く、古い端末や安価な端末など、メモリの少ない端末を利用するにも適しているとのことでした。
よく問題になる点として「ブートローダー(特にUEFI 32bitの場合)」「ドライバ」「Linuxカーネルのバージョン」が挙げられていました。ドライバについては、特にメーカーからドライバが提供されていない場合は移植している人に頼る形になるため、各種機種のドライバを積極的に取り入れているLinuxディストリビューション(ExTiXなど)を試すのも有効とのことでした。
発表資料

「ビットコインの仕組み講座」
担当:暗号通貨ユーザ会 名古屋支部

最近ニュース等でも話題に挙がるようになったビットコイン。名古屋でのビットコインのミートアップを開催している水野氏が、技術的な面を中心に解説されました。ビットコインは、暗号を利用することでデータの改ざんが困難(改ざんされたものを知っていても価値がない)なビット列で表現されています。トランザクション(取引、送金)の計算も数学的に安全性を保証された形で行えます。また新規にビットコインが生成される手段として「マイニング」という重い計算を行うものがあり、これは多大な電力を消費するものの、それによってビットコインも得られるという仕組みになっています。このことを水野氏は「人の欲望をシステムの処理能力と堅牢性に転化する」と紹介されていました。

ビットコイン利用の際には、その暗号の鍵を自分が知っている必要がある一方、他者に知られては勝手に利用されてしまうことになります。そのため保管方法(パソコンに、スマートフォンに、オンラインで、紙に…)にも一長一短がある、ということが紹介されました。

=展示=

3Fのワンフロアで開催した展示。
51団体の出展があり、熱気に溢れていました!

▼展示会場の様子

地元コミュニティを中心にブースの紹介をします。

▼伊勢志摩地域コミュニティ共同ブース
伊勢市などでコミュニティのイベントを開催している「iMug-伊勢志摩UserGroup-」
「伊勢IT交流会」「CoderDojo伊勢」の紹介。

▼OpenStreetMap
自分で動き回った結果を地図にしていくことで、オープンな地図を制作する
プロジェクト。
テーブルにかけられているこの地図、どこかわかりますか?(ヒント:静岡県内です)

▼名古屋勉強会・コミュニティ協同ブース
多数のコミュニティのチラシが置かれていました。直前に声をかけたにもかかわらず
急遽チラシを作ってくれたコミュニティもあったとのこと。

▼名古屋アジャイル勉強会
アジャイル開発の一手法「かんばん」を模したディスプレイが特徴的でした。

▼浜松職業能力開発短期大学校
災害時の避難所運営支援システムと、
VRと連動したロボットの二点が展示されていました。

▼東海道らぐ
東海道沿線、という広い活動範囲を持つコミュニティ。
名古屋開催に参加しているメンバーの制作物が展示されていました。

=ハンズオン企画=

「シビックテック・アイデアソン!Code for Nagoyaへようこそ」
担当:Code for Nagoya

「社会の課題に、技術によって取り組む」ハッカソンやオープンデータ利用などを取り扱うコミュニティ「Code for Nagoya」が今年も企画を実施。今年はアイデアソン(どんなものを作るかのアイデアを出し合いまとめていく。実際の制作は行わない)形式での開催でした。
どんな利用者を想定するか、どんなネタがあるか、というものが紙に書かれたものが多数集まっていました。今回、最終的に固めていくことになったアイデアは「現金なしで生活する」と「ハッカソン疲れしたエンジニアに、静かでのんびりした場所をおすすめしてくれる」の二つに決定していました。

=スタンプラリー・くじ引き・フォトコーナー=

展示会場に設置された、5箇所のスタンプをすべて集めるとOSPN特製のミニトートが
もれなく貰えるスタンプラリー!とアンケートと引き換えにできる、くじ引き!

入り口近くにあった「OSCフォトコーナー」。
会場で見つけた時はぜひ写真を撮ってご活用ください!

▼活用例!

=ライトニングトーク=

昨年同様に、広い展示会場の一角をライトニングトークの会場にしました!
※展示終了後にライトニングトーク仕様にレイアウト変更しました。

ライトニングトークには10人のエントリーがありました。
それぞれに個性的な発表があり会場も盛り上がりました。
また初司会の中部大学の石川くんと大倉くんの二人も流暢なおしゃべりで、
会場を沸かせていました!
エントリー一覧

=懇親会=

約100名が参加した懇親会。今年は会場近くにあるビール園で開催しました。

皆さんビールを片手に、先ほどの会場内での話しの続きをしたり、
久しぶりに会った人と話したり、様々に盛り上がっていました!
恒例の懇親会LTもありました!

=おわりに・・・=

今年のOSC名古屋も、ご協力いただいた皆さまのおかげで盛況に終わりました。
名古屋やその周辺で、オープンなIT技術を楽しみたい・活用したいという人が
多数いるということであり、OSCがその一助となり続けられればと思いました。
来年のOSC名古屋もお楽しみに!

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