OSC2013 Kansai@Kyoto!〜元気で頼もしかった大勢の学生スタッフ〜

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2013年8月2日(金) – 3日(土)の2日間、JR丹波口(京都市下京区)にある
京都リサーチパーク(KRP)の「東地区アトリウムの1F(吹き抜け)と1号館4F」で、
OSC2013 Kansai@Kyoto』が開催されました。

日時:2013年8月2日(金) – 3日(土)
場所:京都リサーチパーク(KRP) 東地区アトリウムの1F、1号館4F
展示数:80ブース
セミナー数:70コマ(金曜日6トラック、土曜日8トラック)
参加人数:1日目:約550人/2日目:約750人、合計約1,300人
                  (昨年より100人の増加)

今回の開催レポートは、京都ローカルスタッフのリーダー(実行委員長)の
「吉田智子(よしだともこ、京都ノートルダム女子大学)」がまとめさせて
いただきます。ただ、自分が興味を持ったこと、自分が参加できた部分が
中心の報告になってしまうことを、あらかじめご了承ください。


さて、『OSC2013 Kansai@Kyoto(以下、OSC京都)』の会場となった
京都リサーチパーク(Kyoto Research Park。以下、KRP)では、昨年同様、
『KRP-WEEK』と題して、7/26〜8/3まで様々なイベントや講演会が行われ
ていました。

OSC京都は、両日とも京都リサーチパーク東地区アトリウム(吹き抜け)では、
コミュニティを中心とした団体の展示、東地区1号館の4Fでは、セミナー(7部屋)と
出展企業さまを中心とした展示が行われました。さらに土曜日は、アトリウム内にも
椅子を並べて、セミナースペースを作りましたので、最大8トラックのセミナーが、
同時開催されていました。

では以下に、展示ブース、ブースツアー、セミナー、ネットラジオの公開生放送、
ライトニングトーク、懇親会の順番で、簡単に紹介していきたいと思います。

◆展示ブース

昨年と同様に、アトリウムと呼ばれる広い吹き抜けのエリアでコミュニティを中心と
した展示、KRPの1号館4Fのホワイエでは、出展企業さまの展示を開催しました。
例外的に、アトリウムで展示をされていた協賛企業さまと後援団体、逆に1号館4Fで
展示をされたコミュニティもありました(ブースの割り当ては、OSC事務局が担当)。

昨年度、OSC京都は『KRP-WEEK』に実施される数あるイベントの中で、最も多くの
来場者数を確保したそうです。その結果、KRP-WEEKの主催者側(京都リサーチパーク
株式会社 KRP-WEEK 事務局)が「OSCの来客にあやかりたい!」と思われたようで、
今年は8月2日(金)にKRP地区で活動する企業・団体(いわゆる、KRPのテナントさま)
のPR展示会が、OSC京都のアトリウム展示ブースの周りで実施されました。

1日目の金曜日、KRPのテナントさまのPR展示用の33のブースが設置された
おかげで、アトリウムの2階に、スターバックスの無料コーヒーのドリンク
コーナーも設けられ、コーヒーの香りにつつまれてのOSC開催となりました。

アトリウムでのブース展示の中から、私の独断と偏見で選んだ5つのブース
(京都府警察、Ejectコマンド、Raspberry Pi、NetBSD、京都OSCローカル
スタッフ有志)について、以下に紹介させていただきます。

(1)「京都府警察サイバー犯罪対策課」のブース

京都府警察は、コミュニティではなく後援団体ですが、アトリウムに展示ブースを
構えておられました。「サイバー犯罪被害防止や警察官募集についての広報・展示、
出張サイバー相談窓口を設けます」と展示内容予告に書かれていたように、ブース
では、サイバー犯罪の被害に関して丁寧に説明して下さいました。

▼京都府警察のブースでサイバー被害の説明を聞く女子大生

(2)Ejectコマンドユーザー会

京都府警察のすぐ横のブースが、「Ejectコマンドユーザー会」でした
(絶妙の取り合わせでしたね)。「あっきぃ」こと、大内明さんが、
CD-ROMドライブ(とRaspberry Pi)を結び付けたヘルメットを
かぶって座っておられました。

最初、「何のために、CD-ROMドライブをeject させるのだろう?」という素朴な疑問
を持った私でしたが、リモートで自宅のCD-ROMドライブを利用すれば、留守中にハム
スターに餌がやれることがわかり、感動しました。「CD-ROMドライブなどを頭の上に
置く理由」は、本人も見る人も楽しい気分になれることが最大のメリットだと思いました。

▼ヘルメットに装着されたEjectセット(Raspberry Pi、CD-ROMドライブなど)

▼頭につけたCD-ROMドライブをejectさせる大内さん
(バックに京都府警察のブースが見えている)

※この写真は「ライトニングトークの『CD-ROMドライブを身につけよう』
 のスライド」より転載

(3)Japanese Raspberry Pi Users Group

世界中で大人気の「Raspberry Pi(英国生まれ)」の日本のユーザーグループの
ブースです。アラビア語がキーボードに刻印されている珍しいノートパソコンの
画面を、Raspberry Piの画面として使っておられました。

写真では緑色のボードが、Raspberry Piの本体です。
日本でも小中学校や家庭での教育利用に、Raspberry Piを普及させたいですね。

▼Raspberry Pi Users Group の Raspberry Pi の展示

(4)日本NetBSD ユーザーグループ

今年も「日本NetBSD ユーザーグループ」はご当地展示として、LUNA(1989年発売)と
LUNA-II(1991年発売)を展示されました(LUNAは京都に本社を持つオムロン製)。

▼1989年発売のLUNAと1991年発売のLUNA-IIの夢の共演
〜左のLUNAでsixel自演プレゼン、右のLUNA-IIでTwitter on NetBSD/luna68k 実演中〜

▼1991年発売のLUNA-IIには今年リリースのNetBSD 6.1がインストール  

20年以上前のこんな老齢マシンに、今年リリースのをインストールして、
mlterm-fbの日本語コンソールを使ったTwitterのデモがされていました。

このブースについては、以下にブログを書きましたので、詳しくはそちらをご覧下さい。
20年前のコンピュータで最新のOSを動かす意味とは? 

(5)OSC京都ローカルスタッフ有志のブース

このブースは、私(よしだ)がリーダーをして、多くの若者から多大な協力を得て
実現させた展示でした。テーマは「オープンソース・ハードウェアでコンピュータ
の原理に触れよう!2013」で、Arduino マイコンを利用した電子工作(各種)と
Raspberry Pi を展示しました。

▼「コンピュータの原理に触れよう!」ブースの流れがわかる説明資料を
 うちわに貼ったところ

こちらについても、展示内容について詳しくは以下のブログをご覧下さい。
「オープンソースカンファレンス京都」への出展報告

このブースの若いメンバーたちが、登りを作ってくれたり(布・棒の調達、書道、
設置など)、Arduino Cube を6x6x6の216個のLEDで組み立ててくれたり、当日の
説明のために勉強会を開いてくれたり、LTで今回の試みを発表しくれたりと、本当に
いろいろと頑張ってくれました。感謝・感謝。

▼コンピュータの原理に触れよう!」の登りは字が上手なメンバーの手書き

▼Arduino Cube を6x6x6の216個のLEDタワーもメンバーの手作り

▼Raspberry Pi を囲んで盛り上がる若手スタッフたち

さらに、最も若いローカルスタッフが、Raspberry Pi の上のScratch でプログラミング
しながら説明員もする姿に、普通に若い大学生スタッフや来場者が興味を持ってくれた
りもしました。なお今回の京都でのOSCの大学生スタッフには、私の所属するノートル
ダムの女子大生に加えて、立命館大学、京都産業大学、京都大学のマイコンクラブ、
京都女子大学の学生の皆さんが、手伝って下さいました。以下に参加報告があります。

▼OSCに参加しました/京都女子大学
http://www.cs.kyoto-wu.ac.jp/?p=338
▼OSCへの出展報告(2)/ノートルダム
http://notredameningen.kyo2.jp/e422797.html

◆ブースツアー

ブースツアーは8/2(金):4回、8/3(土):4回の計8回、実施しました。
平均7名程度の参加者でしたが、多い回では10名以上の参加者がいたため、
ローカルスタッフが数名、交通整理の目的でいっしょに周りました。

ガイド役は、OSC京都ローカルスタッフが中心となり、大学生スタッフが
説明員をした回もありました。

▼ブースツアー実施中(訪れたブースの方に説明してもらっています)

▼ブースツアーで訪れた1号館4Fの企業さまを中心としたブースの様子

◆セミナー

セミナー数は全部で70コマ。
金曜日は同時に6トラック、土曜日は8トラックが実施されました。

多くのセミナーは、1号館4Fの会議室で実施されましたが、土曜日はアトリウムでも
セミナーを実施しました。若手が実施したセミナーの代表的なものは、灘校パソコン
研究部のライトニングトーク、京都クリエイティブワークショップ(きょーくりっ)の
Scratchのハンズオンでした。

▼主なセミナー会場は、1号館4Fでした 

▼1号館4Fセミナー会場の様子

▼アトリウムでの展示の奥の方でセミナーが実施中
 灘校パソコン研究部の発表にたくさんの人が集まっています。

多くのセミナーのスライドが、以下のページで公開されていますので、
聞き逃したセミナーもスライドが公開されていれば、情報が入手できますね。
すばらしい!

また、ニコニコ生放送でリアルタイム発信されていたセミナーもあったようです。

▼ニコニコ生放送で情報発信されていたセミナーの一部

◆ネットラジオの公開生放送

アスクウェアが運営しておられるインターネットラジオ局 BreezeStyleが、
OSC京都のアトリウムのブースで、3日(土)の12:30-13:30、14:30-15:30 に、
公開生放送をされました。これは、ニコニコ生放送でリアルタイムで情報発信
され、タイムシフト視聴もできました。

私も出演を依頼されて、13:20からの10分間ほど出演しました。
パーソナリティの方の上手な司会のおかげで、私は気分良く、カンファレンスで
人が集まることの楽しさが語れました。また、「ローカルスタッフ有志と試みた
展示内容は、一般の人でも段階をおって、オープンソースが理解できるように工夫
したのですよ」という話をしました。

▼よしだともこ、ラジオの公開生放送に出演中

◆ライトニングトーク

OSCの最大のお楽しみの、1人5分ずつのライトニングトーク。
今回も、閉会式前の2日目の16:15から実施され、9名(グループ)が
発表しました。場所は、1号館4Fの、230名が収容可能なサイエンスホール。
開始前に、席はすべて埋まっていましたが、その後も、見たい人がどんどんと
つめかけて、たぶん、収容人数の1.5倍ぐらいの人数が集まっていたと思います。

司会者は、京都ノートルダム女子大学の学部生の川原さん。発表が終わるたびに
発表内容に関するコメントを入れるなど、がんばってくれました。

▼司会をする川原さん、タイムキーパー、ドラ娘たち
 

▼ライトニングトーク中の「ほたさんによるmikutter-l10n」

ライトニングトークの後は、恒例のじゃんけん大会があり
コダックのスキャナーがラッキーな1名の方に当たりました。

▼じゃんけん大会の様子

その後、私が閉会の挨拶をし、来年もまた京都で集まることを約束しました。

▼閉会の挨拶中のよしだともこ

◆懇親会

懇親会は6時から、KRP4号館B1Fの「バンケットホール」に場所を移して行い
ました。昨年に引き続き、会場準備をはじめ、料理やドリンクの手配や片付け
まで、KRP内のレストラン「KOKORO」さんに協力を頂きました。

懇親会の司会は、京都OSCのローカルスタッフの若いけど古参の「Pasta-Kさん」、
乾杯の音頭はKRP(京都リサーチパーク株式会社)の國見 章さんにお願いしました。
そして、中締めは、京都OSCのローカルスタッフを代表して紀野 惠さん(ANNAI)が、
閉会の挨拶はOSC事務局の宮原 徹さん(びぎねっと)が担当されました。

▼乾杯の挨拶をされる國見さん

懇親会の途中で、「京都OSCのローカルスタッフの方、前に出てくださーい!」と
いう時間がありました。どんどんと前に集まる、ローカルスタッフたち。その大半が、
京都の大学生でした。「さすが、学生の街、京都でのOSCだ!」ということを実感する
時間となりました。

OSC事務局からの依頼に応じて、学生スタッフを派遣して下さった大学の先生方、京大
マイコンクラブのメンバーに声をかけて下さったPasta-Kさん、そして、元気な若者の
皆さん、ありがとうございました。&お疲れ様でした。

◆最後に・・・

京都で夏に開催されるOSCは、今回で7度目でした。私が実行委員長となり、
場所がKRPになってからの開催は3度目で、勝手もわかってきてスムーズに
実施できました。

今回、京都の多くの大学生と、OSCのために京都に来てくださった、多くの
社会人の方にお会いして、初対面の方とも、1年ぶりの方とも、昔からの
知り合いの方とも、いっぱいしゃべって楽しんで、そして私が感じたこと
は次のことでした。

OSCという場には、確実に「祭りを楽しんでいる社会人」がいましたよね。
もちろん、「祭りを楽しんでいる学生さん」もいらっしゃったのですが、
社会人の方が目立っておられました。ヘルメットの上のCD-ROMドライブ
をeject しながら歩いている方や、20年以上前のUNIXワークステーション
に最新のOSをインストールして動かす方。LTでの楽しくも不思議な発表。

そんな「無邪気にこのお祭りを楽しむ、大人のいる場」に、今回、ボラン
ティアスタッフとして送り込まれた学生たちが、「スタッフとしての自分
の働きが、このお祭りに役立った。次も参加したい!」という確かな実感
を持ってくれたなら、うれしいなぁと思うのです。

「一生懸命に頑張る大人たちの真面目さに、しらけてしまう若者」という
構図が、今の日本には存在すると思います。学校で、職場で、極端な場合
は家庭でも。(でも仕方がないんですよ。真面目に働かないと給料はもらえ
ないし、家庭でも誰かが必死になっていないと、子どもも育てにくい時代な
のですから。)そんな大人の姿ばかり見ていたら、しらけたくもなると思い
ます。だからこそ、OSCの楽しく無邪気な大人たちの活動に、若い人を巻き
込めたことが、私には嬉しく思えました。

例えば、祇園祭や地蔵盆に代表されるような京都の祭りや行事でも、楽しむ
大人たちに若者や子どもが巻き込まれ、そしてみんなで楽しむことで、なん
とか行事は成り立っています。みんながほんの少しずつ無理や努力をしている
のだけど、頑張ったからこそ「やってよかった!」という達成感が得られて、
それで伝統は廃れずに続いています(少なくとも京都では)。
OSCというお祭りも根本のところで、そんな京都の行事と同じなのだろうなぁ
と思いました。

もちろん、OSC事務局という存在がしっかりと全体をバックアップして
下さっているからこそ、私たちローカルスタッフや、参加者は無邪気に
楽しめたのでしょう。

ということで、事務局の皆さん今年もどうもありがとうございました。
そして、一緒にOSC京都のローカルスタッフ有志として活動した同志たちと、
OSC京都に関わって下さったすべての皆さまに、心から感謝したいと思います。

では、来年また、京都でのOSCで会いましょう。

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OSC京都ローカルスタッフ/京都ノートルダム女子大学 人間文化学部
教授 吉田智子
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